引き返し編みの編地に模様をつける方法

先週の日曜日に、ジェンが、私のSideway & Merging Rippleショールの記事がMason-Dixon Knittingのブログに載っていることを教えてくれました。本当にびっくり!Kayさん、こんなに感激する記事を書いてくれてどうもありがとう!
去年Knitscene Winter 2012号に、引き返し編みのチュートリアルコラムを書かせて頂いて、それ以来、引き返し編みのテクニックを使ったデザインがいくつか紹介されました。そんなわけで今日はこのコラムの続(応用)編を書きます。

ガーターやメリヤス編みだと、引き返し編みって簡単に出来ますよね。でもこの応用編は“引き返し編みの編地にどのようにしたらきれいに模様を付け足す事が出来るか”という事です。カーブのかかっている編み地に、きれいにレースやケーブルの模様がついていたら、とても素敵だと思いませんか?

River Slipper, Osney Shrug, and Baby Cable Yoke Jacket などが引き返し編みの編地に模様がついているパターンの例です。でもよく見てみると模様の配置は二種類に分かれます。

 写真(上):Interweave Press

タイプ1:一つの模様で全体を編む(fig 1 A) – 例: Osney Shrug.
タイプ2:いくつかの模様を並べて編む(fig 1 B) – 例:River Slippers & Baby Cable Yoke Jacket.

どちらのタイプも、成功させるには二つのルール、(1)縦の規則(2)横の規則の両方を満たさなければなりません。使いたい模様を先に決めるより、まず、使える模様の目数と段数を決めてから、それに合う模様を選ぶのがこつです。

縦と横の規則を説明する前に覚えておいて欲しいポイントが3つ有ります。
ポイント1:編み模様は、1つにつき『〇〇目×〇〇段』で出来あがっています。縦の規則では段数だけを、横の規則では目数だけを考えてください。
ポイント2:引き返し編みは、1回引返す毎に、編み地の片方が2段づつ増えていきます。例えば…
全体の段数
第1引き返し
(第1区分)
1段目(表側):段最後の6目前まで編んで、次の目に糸を巻いて引き返す(w&t)。
2段目(裏側): 1段編む。    
第2引き返し
(第2区分)
3段目: 1段目の引返し目の6目手前まで編んで、次の目に糸を巻いて引き返す(w&t)。
4段目: 1段編む。   
第3引き返し
(第3区分)
5段目: 3段目の引返し目の6目手前まで編んで、次の目に糸を巻いて引き返す(w&t)。
6段目: 1段編む。   
段消し 7段目: 段消しをする。引き返し編みの時に巻いた目を下からすくいあげて、その目と一緒に編む(2目1度)。
8段目: 1段編む。   

上記のように編んでいくと編み地は、左から2段、4段、6段、8段というように左側と右側の編み時の高さになっています(図2参照)。
ポイント3:絶対に試しのスワッチを編みましょう。スワッチを編む事によって実際の編み地がどのように出来るかを確認出来ます。

(1)縦の規則
まず、1つの模様を引き返し編み部全体に使いたい場合(タイプ1)は、2段で出来ている模様を選ぶのが一番簡単です。
これは1回の引き返し編み毎に2段ずつ編み地が伸びていくので、2段で出来ている模様を使用すれば、どの区分のを編んでいても模様がズレないでそのまま編んでいく事が出来るからです。

模様が2段以上でできているものを選ぶのは可能ですが、段数が多ければ多くなるほど複雑になっていきます。 例えば使いたい模様が4段とします。
引き返しの編み地は1セット編んだ後の合計編んだ段数が2段、4段、6段、8段…となります。そうすると、1セットの引き返しを編み終わった時点で、第1区分、第3区分(要するに奇数の区分)の模様が未完成になってしまいます。第2区分、第4区分は、4の倍数なので模様は完成しているはずです。この模様の段数の“ズレ”を元に戻して、編み模様全体を同じ位置に戻す為に、引き返し編みをもう1セット編まなければなりません。使いたい模様が3段の場合も、引き返し編みを3セット編めば元の位置に戻ります。でも、模様の段数が多いほど、“ズレ”がどんどん複雑になっていくので、引き返し編みの編み地全体に模様をつける時は、出来るだけ2−4段までの模様にするのがお勧めです。

次に、いくつかの模様を並べて編む場合です(タイプ2)。基本は1つの模様を使う場合と同じです。
一番簡単な方法は、模様の段数が2段、4段、6段、8段…の物をそれぞれ第1区分、第2区分、第3区分、第4区分の場所に使用する事です。そうすれば引き返し編み1セット編んだ後、模様がズレません。要するに、引き返し編み1セットで伸びる段数と同じ段で出来る模様、もしくは、その段数で割れる数の段の模様を使用する事です。

(2)横の規則
模様の段数が決まったら次は目数を決めます。何目の模様でも良いのですが、引き返し編みの区分の目数に合う模様を選ぶと良いでしょう。いくつかの模様を使用する場合、異なる目数の模様を使用しても大丈夫です。上記のポイント3に書いた様にスワッチを編んで確認しましょう。
模様が何目でも良いのですが、最低でもその中の1目は模様編みに使われない物を選ぶというのが横の規則です。この“模様編みに使われない”というのは、例えばケーブル編みの中の1目、レース編みの右又は左上2目一度、掛け目、すべり目などにならないという事です。簡単に説明するとケーブル編みとケーブル編みの間にある裏目の様な感じです(例えばBaby Cable Yoke Jacket&River Slippers)。この目は右にも左にも移動しないし、減ったり増えたりもしません。。この様な目が含まれている模様を選んでください(例えばOsney Shrug)。そして、この様な目は出来るだけ模様の最後の目になる様にしてください。このような模様がない場合は、模様と模様の間に、表か裏目を付け足しても大丈夫な模様を選びます。そしてこの目に糸を巻いて引き返し編みをするのです。

最後に
編み物は、私にとっては、自分で色々想像して創造していく事が出来るクラフトがです。一本の糸から素晴らしい作品を作り出す事が出来ます。その作品は実用的に使う事が出来たり、自分の大好きな家族や友達を幸せにする事が出来ます。編んでいて、これが間違っているなどという事は有りません。この記事が、素敵な思いのこもった様々な作品を作るお手伝いになればいいなと思います。